京都のIT系学生コミュニティCAMPHOR-に入ったよ & 2年近く通ってみて

プログラミングって周りにプログラミングできる人がいる方がいいんですよ,って話.

本記事は2017年4月22日に書いた「京都のIT系学生コミュニティCAMPHOR-に入ったよ」を一部修正し,2019年3月20日時点でCAMPHOR-に2年在籍してみて得た体感を加筆した記事です.上述の記事の内容は前半の「入った当初」にほぼ維持されています.2年前はブログを書き始めたばかりだったので文体がいかにも口語体ですが,これもまた一興ということで2年後の記述と比較してお楽しみください.

入った当初(2017年4月)

自分は生物専攻でシミュレーションを使うからプログラミングをやっているだけなので,周りにプログラミングできる人がほとんどいないんですよ.で,プログラミングについて話したり,一緒にものづくりできる人がいないかなぁとコミュニティを探し始めたのが今年(2017年)の1月.

関西にはコミュニティが幾つかあったんですけど,自分がコミュニティ選びで気にしたのは以下の点.

  1. 対面で会える(ネット上でのみ繋がっているコミュニティもある)
  2. スキルがあまり問われない(できる人しか集まっていないと行きづらい)

以上の条件をCAMPHOR-は満たしていて,なおかつ良いと思ったのは人によって扱う言語が違っていて多様性があったところ.個人的に言語は場面によって使い分けたいので,違う言語やりたくなった時に質問しやすい.あと,入る時にスキルを問わない割に,CAMPHOR-は集まっている人のレベルが本当に高い.

プログラミングは自習することと分からないことはまず検索することが前提だとは思うけど,今の自分じゃ解けそうもないこと,検索するとっかかりが分からないことに関しては素直に質問した方が効率はいいはず.近くに聞ける人がいると問題もサクサク解決して開発に対するストレスも軽減される.これがネット上でのみの繋がりだと,質問して答えが返ってくるラグと検索で答えが見つかる時間は多分同じかそれ以上で,コミュニティに所属するメリットはあんまりない気がする.

現状通い始めて3か月以上経ってみて,プログラミングに関して一人で悩む時間も減ったし,たくさんの人から情報をもらえて開発意欲が高まっています.せっかくメンバーになったので,今後はCAMPHOR-の人たちと何か一緒に作りたい.どこかのコミュニティに属すると,継続的にみんなでものづくりがしやすいのも良いところだと思います.皆さんも,近くにコミュニティがあったら一度見学に行ってみるといいかもしれません.

2年後(2019年3月)

というわけで,2017年1月末くらいからCAMPHOR- HOUSEに通って,前半の記事を書いた2017年4月に運営メンバーとなり,それから2年の月日が流れました.この後半部分では,CAMPHOR-に一学生として,また,運営メンバー*1として関わった上で感じたコミュニティの魅力をまとめていきます.

コミュニティスペース CAMPHOR- HOUSE

CAMPHOR-を知らない人に向けて説明すると,CAMPHOR- HOUSEというのはCAMPHOR-に関わっている,もしくは関わりをもちたい学生なら誰でも来訪可能*2なコミュニティスペースです.実態は京大近くの住宅に囲まれた町家(多分,築100年以上)で,1階の畳が敷かれた和室を主な作業場所として,様々な学生が日々開発や,デザイン,勉強などをしています.

camph.net

「入った当初」にも書きましたが,オンライン上での交流で完結しているコミュニティもある中,CAMPHOR- HOUSEで作業をしながら学生と対面で話すことができるのはコミュニティにとって認識されづらいけれど大きいアドバンテージです.プログラミングを学習した人なら分かると思いますが,自分がわからなかった概念・バグに対して,ネット上で質問するのはとてもむずかしいです.それは質問をするときに,自分がよくわかっていない概念について他者にわかってもらえるように文章を書いて伝えなければいけないからです.自分がよくわかっていることですら文章で伝えるのは難しいので,質問する手が止まってしまうのは自然なことです.その点,CAMPHOR- HOUSEに行くと,誰かしらにこそあど言葉を使いながら漠然とした質問を投げつつ,理解するという過程をたどることができるので,問題を早く解決できるように感じます.最近私はJavaScriptを初めて使ってWebアプリケーションを開発したのですが,開発する中でバグが発生したりコードがわかりにくくなってしまったりする局面に何度か遭遇しました.それらの問題は,CAMPHOR-の人達から「テンプレート文字列」や「正規表現」といった表現方法を教えてもらうことで解決することができました.CAMPHOR- HOUSEに集まる学生の開発に関するレベルは様々ですが,皆誰かが分からないことに対して親身になって聞いてくれます.特に概念の話はネット上での説明がわかりにくいこともあるので,それぞれの学生が考える説明を聞くことが結果的に早い理解につながっていくこともあります.例えば,最近APIとは何か?という話が出たときに,関数プロトタイプであるという例え話を聞いた時はなるほど!と納得してその後のネット上の記述が読みやすくなりました.開発技術のレベルが様々なために,質問者に合わせて説明の詳細度にバリエーションが用意されているのもCAMPHOR-の良い点の1つです.

CAMPHOR- Slack

対面での議論に加えて,CAMPHOR-にはSlackを用いたオンラインのチャットスペース(以下、CAMPHOR- Slack)も設けられています.CAMPHOR- Slackに質問や意見を投げると、現役の学生に加えて卒業生のエンジニア、デザイナーも返事をしてくれることがあります。ある程度調べた上で質問をすると、直接問題解決につながるアドバイスが返ってくるので、良い相談場所になっています。当初コミュニティ探しの時にネット上でのみ交流している団体も見かけましたが、CAMPHOR- Slackを通じて結果的にネット上での交流も実現されることとなりました。

メンバーの学生

以上のCAMPHOR- HOUSEやCAMPHOR- Slackを通じての交流はコミュニティを形成するメンバーありきで成り立つものです。CAMPHOR-のメンバーは個々で異なる活動に従事しており、それを通じて得た成果や知見を各々CAMPHOR- HOUSEやCAMPHOR- Slackに持ち寄ることにより、コミュニティを豊かにしています。今回この記事の後半部分を書くに至ったのは、先日参加したCAMPHOR- DAY 2019の影響が大きいです。当イベントでは,ITのみを共通項として,対象・テーマの異なる多彩かつ知見に溢れた発表が行われました*3.活動の方向性が異なる人間が複数いると何が嬉しいかと言うと,自分が新たな技術・概念・習慣を獲得するときに身近でそれをやっている人がいるので,話を聞きながら挑戦しやすいということがあります.例えば,私はCAMPHOR-に入ってからデザイナーの学生と交流してデザインを意識し,学ぶことができました.研究の発表スライドやポスターを作ったり,研究ネタをモチーフにしたグッズを作るときに,デザインがちょっと良くなったと思います.また,CAMPHOR- Advent Calenderもあるように,CAMPHOR-のメンバーは頻繁にブログを書く習慣があります.その様子を見て自分もブログ執筆を思い立ち,今も気が向いたときに記事を書いています.物書きに抵抗があった5年前くらいに比べて,心理的障壁が下がったように感じます.

上述の利点は運営メンバーでなくても得られうる恩恵です*4.運営メンバーになるとこれらに加えて,企業とイベントを共同開催する体験ができるという利点があります.学生団体のブランドに価値を感じて企業がお金を出してくれることはそうそうないので,大学生・大学院生にとっては貴重な機会だと思います.また,CAMPHOR-が構築しているサービス(Webサイトなど)・内部ツールなどのコードは運営メンバーのみが閲覧可能です.企業インターンに頻繁に通うような学生たちが手を加えているコードが直に見られます.運営メンバーになると良いことは他にもありますが,これらは運営メンバーを捕まえて直に尋ねてください.

最後に

今回の記事は,CAMPHOR-に参画してくれる学生がもっと増えてほしかったので加筆しました.私はCAMPHOR- DAY 2019などのイベントに加え,日常的にもCAMPHOR-にコミュニティとしての価値があると感じています.ですが,自分は博士課程に進学しており,自分の第一の価値は研究活動にあると考えています.このため,今後はより年下の学部生たちにコミュニティ維持を頑張ってもらいたい気持ちがあります.この記事がどれだけの学生に波及するのか予想はつきませんが,この記事を見てCAMPHOR- HOUSEの扉を叩いてくれる学生が現れてくれることを期待しています.

*1:CAMPHOR- HOUSEを維持する活動に従事している学生を運営メンバーとしています.詳細はこちら

*2:社会人の方は公式サイトのお問い合わせフォームを経由していただけると嬉しいです

*3:LTすら密度の濃い発表で驚きました.イベントレポートはこちら

*4:運営メンバーになった方が労せずして得られるということはあります